お題:きみのせいだよ
雨が続いている。夏休みだと言うのに、キラキラな太陽はどこかへ隠れてしまったらしい。暑さに嫌気がさしていたとはいっても、こうも日差しがなければないで気が滅入る。何もしたくない。
「いつ雨止むのかなあ」
「さあな」
今日は動物園に行く約束をしていたのに、雨が酷いらしいので中止になった。電車が止まっても嫌だし、どうせ雨で動物もたいして見れないだろうからって。合理的な理由だけど、そういうハプニングがあるデートもたまには楽しくていいと思う。一緒に楽しむ人がいればだけど。
「つまんない」
「映画でも見る?」
「家にあるやつじゃつまんない」
「悪かったな。好みの置いてなくて」
哲次の持っているDVDはたくさんあるけど、面白そうだと思ったのはちょっとしかないし、それももう全部見た。レンタルに行ければいいけど、外に出たくないから今こうして彼の部屋にいるというのに、出かけるのだったらショッピングモールにでも行ってふらふらしていればよかったのだ。あーあ、スタバ飲みたい。
「家じゃつまんないよ」
「最近出掛けすぎだろ」
「そお? 先週もこんな感じじゃなかった?」
「先週は天気いいから外行こうって、結局ふらふら出かけてただろ」
「あ、散歩してたら見つけたかき氷食べたんだっけ!」
「そう」
呆れたように呟いて、哲次は自分のベッドに仰向けで倒れる。自分だって家いるのつまんないんじゃん。というか、そんなにゆっくりしたかったのなら今日、なしにして別々にゆっくり過ごすのでもよかったと思う。まあ、一緒に過ごせたのなら、それ以上のことはないのだけれど。
人の部屋でできることもないから隣に寝転がる。こんな日もいいか。そう思えてしまったのは、触れた腕が温かいから。
「冷たい」
「エアコンの温度、低すぎる」
「俺はこれでも暑い」
「みたいだね」
ぎゅうっと抱き着けば体温が伝わってきて気持ちがいい。風が出てきて窓の外を雨が叩いてうるさい。けど、こんな日もいい。
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